アッヒー知識箱:インコの羽毛の構造(カラフルな色の仕組み)

アッヒー部屋
この記事は約8分で読めます。

インコはどうやってカラフルな色を出す?

アッヒー
アッヒー

こんにちはアヒ!
アッヒー知識箱アヒよ!

ナカーマ
ナカーマ

はい、アッヒーと一緒に鳥の知識をつける記事ですね。
今回のお題はどうしましょ?

アッヒー
アッヒー

前回の記事でインコがカラフルな理由はわかったアヒけど、インコの羽はどうやってあんなカラフルな色をだせるアヒか?

ナカーマ
ナカーマ

そういえばそうだね。
しかも羽毛の色は色褪せないとか聞くね。

アッヒー
アッヒー

きっと何かスペシャルな奥義が秘められてるアヒね。

ナカーマ
ナカーマ

奥義とか北斗の拳みたいだな。(歳がばれる)
よし、調べてみよう。

というわけで、今回はインコの羽がどういう仕組み(メカニズム)であんなカラフルな色を出しているのかを調べてみました。

前回のインコがカラフルな理由についてはこちら(↓)をご覧ください。

インコの羽がカラフルになる仕組み

インコの羽毛がカラフルな仕組みですが、まず、インコを含む鳥類の羽は2つの仕組みで色を作り出しているようです。

鳥の羽の色を作り出すもの
  1. 色素
  2. 構造色

1つ目の色素は一般的によく聞くメラニン色素だったり、人参などの色の素であるカロテノイド色素などです。

そして2つ目の構造色は羽毛の構造により生み出される色です。

インコの羽色を生み出す3層構造

そして、インコの羽の色は3つの要素で構成されていて、その組み合わせで幾通りものカラフルな色彩をつくりだしています。

インコの羽色を生み出す3つの層
  1. 赤や黄色の暖色系を生み出すサイタコファルビン色素
  2. 青系を生み出す構造色
  3. 白黒茶(明暗)を生み出すメラニン色素

このうち、1番目と3番目が色素によるもので、2番目は色素ではなく、構造色という光の屈折によって作り出される色です。

アッヒー
アッヒー

3層構造とか今や生活羊品となったマスクみたいアヒ!

ナカーマ
ナカーマ

羊品じゃなくて、必需品だね。
たしかに3層構造マスクって売ってるね。
では、それぞれの層について詳しく調べてみよう。

アッヒー
アッヒー

そうアヒね、層するアヒ!
アヒャヒャヒャ!

注意

ここではインコの羽色を作り出す3層構造と書いていますが、実際に物理的な3層にわかれているかは定かではありません。特に1つ目のサイタコファルビン色素がどういう風に保持されているかは調べても不明確でした。3つの要素があるという程度に捉えて頂けると幸いです。

カラフルな羽毛を生成する3層構造の詳細

それではそれぞれの層がどのようなものなのかをみてみましょう。

1層目:サイタコファルビン色素

まず1つ目がサイタコファルビン色素です。(psittacofulvin、またpsittacin とも言われます)

これによりインコは赤やオレンジ、黄色などの暖色系の色を発現させています。

サイタコファルビン色素に関して3つの特徴をあげます。

オウム目特有の色素

鳥類の中でサイタコファルビン色素により赤や黄色を発現させているのはオウム目だけのようです。

他のほとんどの鳥類は赤や黄色などの暖色系はカロテノイド色素(カロチノイド色素やリポクローム色素ともいわれます。後者は古い呼び名のようです)により発現させています。

また、カロテノイド色素以外では、ポルフィリンという有機化合物による色素で赤系を発現させる種類の鳥もいるようです。

食物に依存しない色素

カロテノイド色素は鳥の体に食物から取り込まれる色素です。

カナリアやフラミンゴの色を鮮やかにするために、カロテノイドを多く含む餌を与えるのは一般的です。

しかし、サイタコファルビン色素はオウム類の体内で生成される色素であるため、エサに影響されません。ルチノーのインコに人参を沢山与えても黄色が鮮やかになるわけではないようです。

毛の耐性に影響

サイタコファルビン色素は羽毛を分解する細菌への耐性を与えるとのことです。

この細菌は自然界では一般に土壌に生息しており、鳥の羽にみられるものらしいですが、

実験によると白い色の羽毛に比較すると黄色の羽のほうが耐性が高く、黄色い羽に比べると赤い羽根のほうが耐性が高いという結果がでています。

サイタコファルビン色素で鮮やかなコガネメキシコインコ
コガネメキシコインコ

鮮やかなオレンジ色のコガネメキシコインコ。
これがサイタコファルビン色素で発現した色です。

2層目:構造色(羽毛構造による発色)

インコの羽色を作り出す2つ目の要素が構造色です。

インコの羽にはダイクテクスチャー組織という羽毛構造があります。これが構造色とよばれる光の屈折を生み出すことによる青色の色彩を作り出しています。

この組織はオウム科では欠損しておりみられません。だからオカメインコなどのオウム科の鳥には青や緑色の羽色が存在しません。

構造色の仕組み

羽毛を生成しているケラチンというタンパク質が、スポンジのようなエアポケットを持つ複雑に組織化された構造を作り出すことで光を屈折させます。

このエアポケットとケラチンのさまざまな形とサイズによって、さまざまな色合いの青色を作り出します。

下の引用図のように、青以外の色彩はこのケラチンタンパク質のパターン構造によって打ち消され、青色の光だけが増幅反射されて青く見えます。

引用元:バードアカデミー

インコ以外でも鳥類の青色は全てこの構造色による発現です。

色褪せない青色

構造色は色素ではなく羽毛構造による光の反射で作られるものなので色褪せることがありません。

鳥の羽の青色は構造色を作り出しているケラチンタンパク質の構造パターンが壊れない限りは永遠に保たれるのです。

構造色で真っ青なスミレコンゴウインコ
スミレコンゴウインコ

全身真っ青のスミレコンゴウインコ。
これが色素ではなく構造色とは不思議ですね。

3層目:メラニン色素

3番目の要素がメラニン色素です。これは人間にもある肌の色やシミ、そばかすの原因になる色素です。

メラニン色素は他の鳥類同様にオウム科、インコ科の鳥も保持しています。

メラニン色素は黒、灰色、茶色を生成する色素で、また、これが羽の色の濃さ(明暗)にも影響を及ぼしています。

◆アルビノはメラニン色素の欠損

鳥類だけでなく生物全般にメラニン色素を欠くものをアルビノと呼びます。

インコ、オウムでは遺伝のイノ因子によりメラニン色素を欠き、白や黄色の個体が発現します。

また、構造色もメラニン色素なしでは反射による青色を発現できないようです。これはメラニン色素が青色以外の色を吸収し、青色だけが屈折反射して発現するためです。

◆メラニン色素は羽毛の耐性に関係

メラニン色素は羽毛の耐性に関係しているようですが、前述した羽毛を分解する細菌に対する耐性については不明確です。

また、インコについてはダークファクター因子がメラニン色素と関わっていますが、ダークファクター因子を2つ持つダブルファクター(品種でいうとモーブやオリーブ)は羽毛の状態が悪くなると言われています。

ヨウムは尾羽以外は白黒のメラニン色素
ヨウム

ヨウムは赤い尾羽以外は白黒。
尾羽以外はメラニン色素だけですね。

インコがカラフルな仕組みまとめ

アッヒー
アッヒー

一つ一つは分かったけど、結局なんだかよくわからないアヒね。
1羽でいろんな色の鳥はなんでできるアヒか?

ナカーマ
ナカーマ

まず、インコのカラフルな色は3つの層(要素)の組み合わせで出来ているってことだね。
分かりやすいイメージをみつけたので引用させてもらおう。

下の図ではセキセイインコの色を例にあげて、どういう仕組みで色が出来上がるかを説明したイメージ図です。

セキセイインコの色をノーマル:緑オパーリン:青ルチノー:黄、アルビノ:白という前提で表しています。

引用元:岡山大学大学院自然科学研究科分子内分泌学研究室

そうするとこのような組み合わせによって、それぞれの色が作り出されるということです。

ナカーマ
ナカーマ

1羽でいろいろな色をもっているタイプのインコは、体の部分部分でこの組み合わせが違うってことだね。

アッヒー
アッヒー

なるほどアヒ。

でも赤はどこに行ったアヒ?

ナカーマ
ナカーマ

赤はサイタコファルビン色素が黄色じゃなくて赤ければ赤系になるね。
それと構造色とメラニン色素から作られる青が混ざると紫になるみたいだね。

アッヒー
アッヒー

気付かなかったアヒ。

そりゃアカン、赤だけに。アヒャヒャヒャ!

  • 3つの層(要素)が全部そろえば緑
  • サイタコファルビン色素だけ無いと青
  • メラニン色素だけ無いと黄
  • 構造色だけでは白(発色しない)
  • サイタコファルビン色素が赤系だと赤や紫、ピンクにもなる
  • 1羽で複数色をもつものは部位によって組み合わせが違う

最後に

今回はインコの羽がカラフルになる仕組み(メカニズム)について調べてみました。

インコの羽の色は、サイタコファルビン色素による赤・黄色、構造色による青、メラニン色素による白・黒・茶色、その3つの組み合わせで作りだされていることがわかりました。

暖色系色素のサイタコファルビン色素がオウム、インコ特有の色素であったり、青や緑は構造色で色褪せないことなど、なかなか複雑で面白い発見でした。

自然界のセキセイインコやコザクラインコ、ボタンインコがなぜ緑色ベースなのも、3つの要素を全て保持しているからだと分かりましたね。

それによって森の樹々と同じカムフラージュ色になっているところもすごいですね。

品種改良でいろいろなカラフルな色・模様が作り出されているインコやオウム、眺めているだけでも目の保養になりますね。

今回は以上です。

アッヒー
アッヒー

アッヒーが黄色いのはミカンの食べすぎアヒよ!

そりゃアカン、ミカンだけど。

アヒャヒャヒャ!

ナカーマ
ナカーマ

・・・・寒い。


※参考とさせて頂いたサイト

惑のここっとライフ 様 
岡山大学大学院自然科学研究科分子内分泌学研究室 さま
birdwatchingdaily
The Company of Biologists
Bird Academy
SmithSonian Magazine

コメント

タイトルとURLをコピーしました