セキセイインコの種類:ハルクインについて
セキセイインコの種類について深堀するシリーズ、第3回目はハルクイン種です。
セキセイインコはたくさんの小鳥・インコファンの方々から愛されている鳥です。
セキセイインコの種類については既に別の記事でご紹介済みなのですが、その種類一つ一つについて、もう少し細かく調べてまとめており、今回はその第3回目です。
上の記事でご紹介しているように、セキセイインコには非常に多くの種類がいます。代表的なものは以下の通りです。
- ノーマル(Normal)
- オパーリン(Opaline)
- パイド(Pied)
- ハルクイン(Harlequin)
- ルチノー(Lutino)
- アルビノ(Albino)
- レインボー(Rainbow)
- スパングル(Spangle)
- ウイング(Wing)
- ファロー(fallow)
- 羽衣セキセイ
- 梵天セキセイ
- ジャンボセキセイ
今回はハルクイン種についてです。この記事を読んで、ハルクイン種について知っていただけたらと思います。
まずハルクインという名前についてですが、英語表記では「Harlequin」です。
これは、イタリア発祥の喜劇「コンメディア・デッラルテ」の登場人物であるアルレッキーノ (Arlecchino)という道化師が、イギリスではハーレクイン(Harlequin)と呼ばれており、そのハーレクインの着ている衣装に模様が似ていることからきているという説があります。
しかしながら、英語圏ではセキセイイインコのハルクイン種をHarlequinとして呼んでいるのはごくわずかなようで、本来の遺伝上の種である「レセッシブ・パイド(Recessive pied)」と呼ばれているようです。
レセッシブ・パイドという名の通り、ハルクインもパイド種の1つです。セキセイインコのパイドには大きく分けて以下の3つの種類があります。
- ドミナント・パイド(オーストラリアン・パイド)
- ハルクイン(レセッシブ・パイド)
- ダッチ・パイド(クリアフライト)
(ドミナント・パイド、ダッチ・パイドについてはこちら↓をどうぞ)
それではセキセイインコのハルクイン種についてまとめていきます。
セキセイインコ:ハルクインの特徴(魅力)
セキセイインコのハルクイン種の特徴・魅力は以下の通りです。
- 後頭部・背中のさざなみ模様が少ない
- アイリスリングが無く、お目目クリクリ
- ろう膜(鼻の部分)の性差がわかりにくい
後頭部・背中のさざなみ模様が少ない
ハルクイン種ではノーマル種やオパーリン種に比較するとセキセイインコの特徴である黒い縞模様・さざなみ模様が少ないです。
目の横から頭部にかけて少し縞模様が残る傾向がありますが、羽の部分は黒い斑点がまばらに残る程度です。(黒い部分の多さには個体差があります)
そして、体の原色(グリーンまたはブルー)はお腹の下部の辺りと、背中に残ります。
ノーマル、オパーリンと比較すると、体全体の黒い部分の多さは以下のようになります。
黒い部分が多い ← → 黒い部分が少ない
ノーマル種 > オパーリン種 > ハルクイン種
アイリスリングが無く、お目目クリクリ
アイリスリングとは白目の部分です。
インコにはアイリスリングがある種類とない種類があり、野生のセキセイインコはアイリスリングがある種類のインコなのですが、ハルクイン種のセキセイインコにはアイリスリングがない(表面上見えない)です。
よって、常にお目目クリクリでかわいらしいのが特徴で、人気の一つでもあります。
半面、アイリスリングがないため目から感情がわかりにくいです。
ろう膜(鼻の部分)の性差がわかりにくい
セキセイインコは「ろう膜」と呼ばれるクチバシの上の鼻の部分の色でオス・メスの性別を識別できます。
ノーマル種やオパーリン種は、オスの場合に「ろう膜」が青色になるので性別を見分けやすいのですが、ハルクイン種はオスでも「ろう膜」が青色にはなりません。
オスもメスもベージュのような色になるので、見分けるのが難しいのです。
ただしハルクインでは、オスはろう膜全体が若干紫やピンクがかったようなベージュ、メスは鼻の穴のまわりが白くなっていることで見分けられるようです。
とは言っても見分けは難しく、幼鳥の時は違いがさらにわかりにくいです。
セキセイインコのハルクイン種のカラー
ではハルクイン種の色(カラー)についてです。
ハルクイン種もノーマル種のセキセイインコと同様に緑(ライトグリーン)と青(スカイブルー)の2種類がベースになります。
しかしハルクイン種は正式にはレセッシブ・パイド種という種類で、「パイド」とは色抜け・色落ちのことを言います。
したがって、ハルクイン種ではグリーン系は緑が色落ちして黄色がメインの体の黄ハルクイン、ブルー系では青が色落ちして白色がメインの体の白ハルクインになります。
また、ブルー系でイエローフェイスの遺伝を持っていると4色ハルクインという種類になります。
なおハルクインのレセッシブ・パイドという遺伝子は、オパーリンの遺伝子とも組み合わさりますので、ハルクインのオパーリンも存在します。
セキセイインコ:黄ハルクイン
原種色であるライトグリーンにハルクインが発現したものが、黄ハルクインです。
鮮やかな黄色をベースに下腹部あたりがグリーンです。
↑こちらが黄色ハルクインの男の子。とてもきれいです。そしておりこうさん。
セキセイインコ:白ハルクイン
グリーンに対して潜性遺伝であるブルーの色のセキセイインコですが、ブルーのハルクイン種が白ハルクインと呼ばれています。
白い体に下腹部が水色の爽やかなカラーですね。
↑こちらの動画では白ハルクインのピコちゃんがしゃべりまくります。
セキセイインコ:4色ハルクイン
4色ハルクインは、白ハルクインにイエローフェイスという遺伝も併せもった種類のことです。
顔が黄色、体が白、お腹が青、模様が黒で4色ハルクインです。
この種類はかなりめずらしいので、なかなかショップで出会うのは難しいかもしれません。
↑4色ハルクインたち。かなり古い動画でして、4色ハルクインを現在飼育されている方の動画をYoutube上でみつけきれません。
セキセイインコ:ハルクインの雛(子供)はハルクイン?
セキセイインコのペアリングで産卵した場合、親がハルクインのとき雛はどうなるのでしょうか。
どちらか一方、または両方がハルクインのセキセイインコのペアが産卵した場合、生まれてくる雛はどれくらいの確率でハルクインになるのかを調べてみます。
両親のうち片方だけがハルクインの場合
両親のうち片方の親だけがハルクインの場合は、子供(雛)はどのような確率でハルクインが生まれるのでしょうか。
先に答えを書きますと以下のようになります。
片方の親だけがハルクインの場合、雛がハルクインの確率:25% (※最大値)
これは父親と母親のどちらがハルクインでも同じです。
ただしこの25%には前提があって、ハルクインではない方の親が、ハルクインの遺伝子を隠し持っている可能性を50%とした場合のことになります。
ハルクインはレセッシブ・パイドという常染色体潜性遺伝(常染色体劣性遺伝)です。したがって、ハルクインの遺伝子が2つ揃わないと発現しません。
下の図で、ケース1はハルクインではない方の親が、ハルクインの遺伝子(レセッシブ・パイド)を持っていないケース、ケース2は持っているケースです。ケース1・2のトータルで雛がハルクインの確率は25%です。

しかし実際にはハルクインの遺伝子を隠し持っていることは50%より少ない可能性が高く、そうすると雛がハルクインになる可能性はもっと低くなります。上に書いた雛がハルクインの確率:25%は最大値であり、実際はそれよりかなり低い確率だと思われます。
両親ともハルクインの場合
両親ともハルクインの場合は、子供がハルクインの確率はどうなるのでしょうか?
答えです。
両親ともハルクインの場合、雛はハルクイン:100%
ハルクインは潜性遺伝(劣性遺伝)ですので、両親はどちらもハルクインの遺伝子を2つ持っており、ハルクインに対する優性な遺伝子を持っていません。
したがって生まれてくる雛は100%ハルクインです。

両親ともハルクイン以外の場合
両親ともハルクインではない場合、子供がハルクインになることはあるのでしょうか?
答えです。
両親ともハルクイン以外の場合、雛がハルクインの確率:6.25% (※最大値)
ハルクインは顕性遺伝(優性遺伝)ですので、両親ともハルクイン以外の場合でもハルクインの遺伝子を隠し持っている可能性があります。
なので以下の組み合わせが考えられます。
- 両親ともハルクイン遺伝子を保持していない
- ハルクイン遺伝子を父親は隠し保持、母親は保持していない
- ハルクイン遺伝子を父親は保持していない、母親は隠し保持
- 両親ともハルクインの遺伝子を隠し保持
この4番目のペアからは、25%の確率でハルクインの雛が生まれます。両親の組み合わせが4番目の組み合わせである確率も25%であるとすると、0.25×0.25=0.0625 ですので、ハルクインの雛が生まれる確率は6.25%です。

ハルクイン種の人気セキセイインコ
それでは、ハルクイン種の人気動画をいくつかご紹介します。
↑リモコンを相手に明瞭な言葉で話しかける黄色ハルクインのうりちゃん。とてもかわいい。
緑色部分がかなり少ないので、ハルクイン以外の種も混ざっているのかもしれません。
↑こちらは大阪弁で会話の最後を「知らんけど」で落とす黄色ハルクインのキー太ちゃん。面白すぎ。
最後に
今回はセキセイインコの種類のうち、ハルクインをご紹介しました。
ハルクインは黒い模様が少なく、クリクリお目目がかわいらしいのが特徴なセキセイインコです。
そして、ハルクインは潜性遺伝であることから、ハルクイン同士のペアの子は必ずハルクインになります。
特徴欄には書きませんでしたが、ハルクインは小柄な個体が比較的多いようです。しかし体質が弱いということはないみたいなのでご安心を。
次回はパイドをご紹介する予定です。(ハルクインもパイドの一種ですが、次回は顕性遺伝のドミナントパイドです)
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