アッヒー知識箱:IUCNレッドリストと保全状況とは(インコ・オウムの絶滅危惧状況は?)

アッヒー部屋
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IUCNレッドリストとは

アッヒー
アッヒー

こんにちはアヒ!
アッヒー知識箱アヒよ!

ナカーマ
ナカーマ

はい、超ご無沙汰してました。
今回は何を勉強するのかな?

アッヒー
アッヒー

このサイトで何度も登場するIUCNレッドリストって何アヒか?

ナカーマ
ナカーマ

IUCNっていうのは国際自然保護連合のこと。
レッドリストは、そこが作成した絶滅のおそれがある野生生物のリストだよ。

アッヒー
アッヒー

アッヒーも載ってるアヒか?

ナカーマ
ナカーマ

いや、アッヒーは野生生物じゃなくて宇宙アヒルだろ・・・

ということで、今回はこのサイトで何度も登場する「IUCNレッドリスト」に関するお話です。

IUCN(国際自然保護連合)とは

IUCNとは国際自然保護連合のことです。

国際自然保護連合の英語表記International Union for Conservation of Nature and Natural Resource」の頭文字をとって短縮名称でIUCNと呼んでいます。

IUCNはスイスに本部がある国際的な自然保護団体で、1946年の創設です。国家、政府機関、NGOなどが会員であり、もちろん日本も国家会員として加盟しています。

IUCNは国立公園天然記念物などのカテゴリー化も行っています。

レッドリストとは

レッドリストはIUCNが作成した、絶滅のおそれがある野生生物のリストです。

世界中の野生生物における、絶滅のおそれがある種について、その絶滅危惧の深刻度合いをカテゴリー分けして公表しています。

最初のレッドリストは1966年に作成され、近年はインターネット上で提供される形式となっています。

この記事を執筆している時点(2022年9月現在)では「レッド リスト Web サイト (バージョン 2022-1) 」として公開されています。

レッドリストにおける保全状況とは

レッドリストでは絶滅危惧の深刻度合いをカテゴリーに分類しています。

カテゴリー1カテゴリー2略記
絶滅EX
野生絶滅EW
絶滅危惧深刻な危機CR
 〃危機EN
 〃危急VU
準絶滅危惧NT
低懸念LC
レッドリストでのカテゴリー

上の表が、レッドリストでの絶滅危惧状況を示すカテゴリーです。上に行くほど状況は深刻であり、下に行くほど絶滅リスクが少ないものになっています。

レッドリストで分類された絶滅危惧状況を示すカテゴリーを用いて、野生生物の種の保全状況(どれくらい絶滅のおそれが高い状況なのか)を簡易的に知ることができます。

それでは、以降でそれぞれの詳細と、インコ・オウム類で該当している主な種をご紹介します。

絶滅(EX)

絶滅(EX:Extinct)は既に地球上から姿を消してしまった種のことです。

これまでに非常に多くの野生生物が人間による自然破壊や乱獲など様々な原因で絶滅しています。とても残念なことであり、これ以上このカテゴリーに分類されてしまう種が増えないように努めなければなりません。

インコ・オウム類での主な絶滅(EX)種

カロライナインコ(Carolina Parakeet

  • アメリカの東部~中西部に生息していたインコ
  • 農作物の害鳥として駆除、美しい羽根の採取などで減少
  • 1918年にシンシナティ動物園で最後の1羽が死亡し絶滅

ナチュラリス生物多様性センターに設置された標本
画像引用元:英語版Wikipedia

ゴクラクインコ(Paradise Parrot

  • オーストラリア東岸に生息していた非常にカラフルなインコ
  • 牧畜のための野焼き、収集家による狩猟などで減少
  • 多数飼育されたが蟻塚に巣を作る性質で人口繁殖困難
  • 1927年の目撃を最後に絶滅

画像引用元:英語版WikiPedia

野生絶滅(EW)

野生絶滅(EW:Extinct in the Wild)は既に野生では絶滅しており、人間の飼育下の下でのみ生存している種のことです。

鳥類で野生絶滅の種としては、日本では佐渡島で飼育・保護されていたトキが有名です。

トキは残念ながら日本産の個体は絶滅してしまいましたが、中国で再発見された個体が人工繁殖に成功して日本に寄贈され、日本でも人工繁殖に成功して自然界に放鳥。レッドリストの分類も野生絶滅(EW)から絶滅危惧の危機(EN)にまで復活しています。

インコ・オウム類での野生絶滅(EW)種

アオコンゴウインコ(Spix’s Macaw

  • ブラジル北東部に生息していたインコ
  • 森林破壊、密猟などで減少
  • 2000年の目撃を最後に野生絶滅と推測
  • 野生捕獲された僅か7羽の個体を元に飼育下での繁殖を試行
  • 関係者の尽力で150羽以上に増殖、野生復帰プログラムを実施中

画像引用元:ナショナル ジオグラフィック

なんと素晴らしいことに、野生復帰プログラムで人工的に繁殖された個体のうち8羽が2022年6月に野生下へ放鳥されました。2022年12月にも12羽をリリースしました。

そして2023年にはリリースした鳥がペアを作り産卵し2羽の雛が孵ったことが確認されています。

絶滅危惧 深刻な危機(CR)

絶滅危惧のカテゴリーはさらに3つに分類されており、最も深刻な状況にあるものが「深刻な危機(CR:Critically Endangered)」です。

レッドリストの説明によると、野生で極度に高い絶滅のリスクに直面している種とのことです。

インコ・オウム類での絶滅危惧 深刻な危機(CR)種

ナイトオウム(Night Parrot)

  • オーストラリア大陸に生息
  • 陸生かつ夜行性でほとんど飛ばない
  • 生態はほとんど解明されていない
  • 約100年もの間、絶滅したと思われていた
  • 生息数は不明で、絶滅している可能性もあり

↑2015年に撮影されたナイトオウムの動画

オトメインコ(Swift Parrot

  • オーストラリア南東部、タスマニア島に生息する美しいインコ
  • 夏にタスマニア島で繁殖する渡り鳥
  • 森林伐採、フクロモモンガによる捕食により減少
  • 人口巣箱設置等による保護活動で増加傾向

↑非常に美しいオトメインコの水浴び姿

コバタン(Yellow-crested Cockatoo)

  • キバタンと似ているがキバタンより小型の白色オウム
  • ペットとしても高い人気がある
  • 原産地の東ティモール、インドネシアでは激減
  • 香港で恐らく人の手で放たれたものが野生定着

↑香港に生息しているコバタンの動画

他の絶滅危惧 深刻な危機(CR)種

上記以外にも多数の種が深刻な危機(CR)として分類されています。

以下にいくつか例をあげますが、ほかにも数種が分類されています。また既に長年存在が確認されておらず絶滅してしまった可能性が高い種も含まれています。

  • キエリボウシインコ(Yellow-naped Amazon)
  • ミカドボウシインコ(Imperial Amazon)
  • アカビタイボウシインコ(Puerto Rican Amazon)
  • ウミアオコンゴウインコ(Glaucous Macaw)
  • ヒワコンゴウインコ(Great Green Macaw)
  • アカミミコンゴウインコ(Red-fronted Macaw)
  • アオキコンゴウインコ(Blue-throated Macaw)
  • アカハラワカバインコ(Orange-bellied Parrot)
  • コンセイインコ(Ultramarine Lorikeet)
  • フィリピンオウム(Philippine Cockatoo)

絶滅危惧 危機(EN)

絶滅危惧のカテゴリーの3つうち、2番目に深刻な状況にあるものが「危機(EN:Endangered)」です。

レッドリストの説明によると、野生で非常に高い絶滅のリスクに直面している種とのことです。
※CNは「極度に高い」、ENは「非常に高い」です。

インコ・オウム類での絶滅危惧 危機(EN)種

ヨウム(Grey Parrot)

  • コンパニオンバードとして大人気の大型インコ
  • 非常に知能が高くものまね上手として有名
  • 森林破壊、密猟などで減少。特に本種の密猟は深刻。
  • 2017年1月からワシントン条約附属書Iへの移行により野生個体の商業取引禁止

↑こちらはヨウムの違法取引関する海外の動画。ぜひ見てほしい内容です。

フジイロボウシインコ(Lilac-crowned Amazon)

  • メキシコの太平洋岸に生息するボウシインコ
  • 緑色の体にあずき色の額と青紫の頭の美しいインコ
  • IUCNは2014年からENに指定
  • アメリカのカリフォルニア州で恐らく人に放たれたものが生息

↑フジイロボウシインコの美しい動画

他の絶滅危惧 危機(EN)種

上記以外にも多数の種が危機(EN)として分類されています。ペットとしても有名なコガネメキシコインコ、コイネズミヨウム、タイハクオウムも含まれています。

以下にいくつか例をあげますが、ほかにもいくつかの種が分類されています。

  • コイネズミヨウム
  • ササハインコ
  • ミドリウチワインコ
  • スンバゼイガイインコ
  • キビタイヒスイインコ
  • コガネメキシコインコ
  • クリムネインコ
  • ハシブトインコ
  • コスミレコンゴウインコ
  • エロオロウロコインコ
  • ミドリアカオウロコインコ
  • オオキボウシインコ
  • メキシコアカボウシインコ
  • アカガタインコ
  • タイハクオウム

絶滅危惧 危急(VN)

絶滅危惧のカテゴリーの3つうち、3番目に深刻な状況にあるものが「危急(VN:Vulnerable)」です。

レッドリストの説明によると、野生で高い絶滅のリスクに直面している種とのことです。
※CNは「極度に高い」、ENは「非常に高い」、VNは「高い」です。

インコ・オウム類での絶滅危惧 危急(VN)種

アカサカオウム(Gang-gang Cockatoo

  • オーストラリア南東部に生息
  • オスは頭部が赤くなる
  • 近年、生息数が激減
  • オーストラリアでは絶滅危惧種に指定

↑野生のアカサカオウム(ギャングギャングパロット)

ニョオウインコ(Golden parakeet)

  • ブラジル北部の一部地域に生息
  • 体全体が黄金色の美しいインコ
  • ブラジルでは保護活動が行われている
  • ペットとしては日本でも100万円以上で稀に販売されている

↑野生のニョオウインコ

他の絶滅危惧 危急(VN)種

上記以外にも多数の種が危急(VN)として分類されています。ペットとしても有名なルリメタイハクオウム、オオバタンも含まれています。

以下にいくつか主にペットとして飼育されている種の例をあげますが、ほかにも非常に多くの種が分類されています。

  • ルリメタイハクオウム
  • オオバタン
  • ミドリコンゴウインコ
  • スミレコンゴウインコ
  • クロボタンインコ
  • ミドリコンゴウインコ
  • シロハラインコ(グリーンタイツ)

準絶滅危惧(NT)

準絶滅危惧(Near Threatened)は現時点では絶滅危惧種に分類される要件を満たしてはいないものの、近い将来に絶滅危惧のカテゴリーに合致する可能性が高いものです。

要するに生息数が減少しており、このままでは絶滅危惧種に分類されそうな種です。

インコ・オウム類での準絶滅危惧(NT)種

以下にいくつか主にペットとして飼育されている種の例をあげますが、ほかにも多くの種が分類されています。

  • シロビタイムジオウム
  • ボタンインコ
  • キガシラアオハシインコ
  • オオダルマインコ
  • オオホウセイインコ
  • オナガアカボウシインコ

低懸念(LC)

低懸念(Least Concern)は絶滅危惧、準絶滅危惧のいずれの要件にも満たないものです。

現時点で生息の分布が広いもの、個体数が多いものなど、要するに生息数が多いものです。

そうはいいながらも、野生での生息数が減少している種は多数含まれています。これまで多くの種が低懸念→準絶滅危惧へ変更されていますので油断はできません。

インコ・オウム類での低懸念(LC)種

以下に主にペットとして飼育されている種の例をあげます。もちろん、インコ・オウム類にはペットとして飼育されていない種も多く存在します。

  • セキセイインコ
  • オカメインコ
  • コザクラインコ
  • モモイロインコ
  • ルリコンゴウインコ
  • ベニコンゴウインコ
  • キバタン
  • クルマサカオウム
  • マメルリハ
  • ビセイインコ
  • ムラクモインコ
  • ゴシキセイガイインコ
  • オオハナインコ
  • ナナクサインコ
  • アキクサインコ
  • ワカケホウセイインコ
  • ホオミドリウロコインコ
  • オキナインコ
  • サザナミインコ
アッヒー
アッヒー

大変アヒ!
我が家のヨウムのヒヨドリは絶滅危惧種の貴重なインコだったアヒ!

ナカーマ
ナカーマ

うん、ペットとして飼われているものも、ペット用の密猟が原因で減少してたりするんだ。

うちのヒヨちゃんはフィリピンで繁殖したものみたいだけど、大切にしないとね。

アッヒー
アッヒー

で、アヒルはどのカテゴリに分類されてるアヒ?

ナカーマ
ナカーマ

アヒルはそもそも家畜だから野生種じゃない。
宇宙アヒルはしらん。

アッヒー
アッヒー

ファガ~~~。
ダック(DUCK)はどうアヒ?

ナカーマ
ナカーマ

ダックはカモ類の総称だから、いろんな種類がいるんだよ。
マガモやカルガモは低懸念(LC)に分類されてるね。

最後に

今回はIUCNレッドリストについての情報をお届けしました。

インコ・オウムに限らず、野生生物は多くの種が絶滅危機に瀕しています。

自然破壊、密猟、乱獲、温暖化、海洋プラスチック問題など、人類の手によって減少の原因が作り出されているものがほとんどです。

私たち一人一人が自然保護に少しでも努め、自然界の多くの生物と共存できるような世界にしていくことが大切ですね。

それではまた。

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